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年末商戦やSEO対策、広告効果等による売上アップ時の資金繰りの悪化の原因と解決策を解説

 

SEO対策サイト改善やインフルエンサーなどによるSNS効果、新商品のヒット、年末商戦の売上アップ時などによる急激な売上アップEC、ネットショップ経営で良くあることかと思います。

このような売上が増加するときのEC、ネットショップの売上アップした時の資金繰りの変化、注意点について説明しています。

まず、売上は、販売点数と単価により決まります。

つまり、売上=販売点数×単価だと思います。

そして、売上アップには、2パターンあるかと思います。

一つは、単価アップ、値上げによる売上アップ、もう一つは、販売点数の増加による売上アップです。

通常の売上アップは、販売点数による売上アップが多いかと思いますが、売上アップが単価アップによる売上アップか販売点数の増加による売上アップかどうかによって、資金繰りの変化は大きく異なります。

ここでは、単価アップ、値上げによる売上アップの場合には、売上アップした金額だけ、資金が増加するため、資金繰り上の特段注意することはありません。

しかし、販売点数増加による売上アップの場合には、資金繰り上注意が必要です。

利益がでているのに資金が増えないどころか減る一方という現象が起きてしまいます。

なぜ、売上が増加しているのに資金繰りが悪化するのか、そして、資金繰り悪化を事前に防止するための方法について解説していきます。

 

販売点数増加による売上アップの場合の資金繰り上の変化

販売点数増加による売上アップの場合が多いかと思いますので、販売点数増加による売上アップの場合からご説明したいと思います。

売上アップすると、当然売上に対する入金が増加します。

同時に販売点数が増加すると、売上の増加に比例して、仕入が増加します。

また、常時保有する商品在庫が増加します。

そして、売上が増加すると、クレジットカード決済が多い場合には、販売後約45日ほど遅れて入金されるため、”売掛金”が増加します。

売掛金とは、月末時点の売上に対して、未入金になっている金額のことを言います。

以上のように売上増加によって仕入金額、在庫金額、売掛金の金額がそれぞれ増加します。

ここで大切になるのが、「運転資金」を把握することです。

EC、ネットショップ経営で大切な運転資金とは

運転資金??聞いたことはある方もいらっしゃるかもしれませんが、運転資金は、EC、ネットショップを経営を行っていく上では、非常に重要な資金の枠になります。

運転資金とは、販売を行っていくために手元に必要な資金のことです。

EC、ネットショップ経営では、運転資金は、売上が増加すれば、増加するため経営を行うための資金が増加していきます。

よって、EC、ネットショップ経営では、自社の運転資金の金額を把握して、売上の変化に応じて随時把握しながら経営する必要があります。

運転資金の金額の計算方法は以下になります。

運転資金=売掛金+在庫-買掛金

 

売掛金‥月末時点の出荷済みでクレジットカードや代引き売上の未入金の金額
在庫‥月末時点で保有している商品在庫金額
買掛金‥月末時点でクレジット決済仕入でまだ支払っていない金額

毎月の在庫を損益計算書上に反映させている場合は別ですが、売掛金、在庫、買掛金は、損益計算書から把握することができない数字で、貸借対照表から把握することができます。

以下のようなケースで運転資金を計算してみます。

・月商‥400万円
・原価率‥40%
・売上の決済方法と入金サイト‥100%クレジットカード売上、月末締めの翌月15日入金(45日サイト)
・在庫の金額‥常時月商2か月分(在庫回転日数60日)を保有
・仕入の決済方法と支払サイト‥100%クレジットカード仕入、月末締めの翌月20日払い(50日サイト)

ここでは、自社サイトを運営しており、売上の決済パターンがクレジットカード、仕入の決済パターンもクレジットカードを前提に解説していきます。

この場合の運転資金は以下のようになります。

単位:千円 金額
①売上高 4,000
②商品原価 ①×40% 1,600
③粗利益 ①-② 2,400
④売掛金 ①÷30日×45日 6,000
⑤在庫  ②×2か月 3,200
⑥買掛金 ②÷30日×50日 2,666
⑦必要運転資金 ④+⑤‐⑥ 6,534

この場合、運転資金は、売掛金に在庫を加え、買掛金を差し引いた金額が653万円となります。

これが何を意味するかというと、この売上、原価、在庫をキープしながら経営を行う場合、653万円の資金を保有していなければ、資金繰りが回らず、ショートしてしまうことを意味します。

では、売上以外が上記と全く同じ条件で、売上が月商1000万円に増加した場合でどのくらいの運転資金が必要になるか計算してみます。

単位:千円 金額
①売上高 10,000
②商品原価 ①×40% 4,000
③粗利益 ①-② 6,000
④売掛金 ①÷30日×45日 15,000
⑤在庫  ②×2か月 8,000
⑥買掛金 ②÷30日×50日 6,666
⑦必要運転資金 ④+⑤‐⑥ 16,334

月商が1,000万円の場合、運転資金は、1,634万円の金額になり、月商400万円の場合に比べると980万円の運転資金の増加です。

つまり、月商1000万円の場合、月商1,000万円をキープして原価率、在庫の売上に対する保有割合に変動が無い場合、手元に資金が1634万円必要になります。

しかし、これは、売上の増加に伴い、在庫が増えすぎないことが前提です。

月商に対する在庫の保有金額が大きくなる場合は、更に運転資金が増加してしまいます。

ここで在庫回転月数と指標が大切になります。

月商に対して何か月分の在庫を保有しているかという指標が在庫回転月数です。

在庫回転月数は、以下の計算式で計算することができます。

在庫回転月数=在庫金額÷月商×原価率

在庫回転月数が上昇すれば、売上に対する在庫のウエイトが重たくなってきていることを表します。

一方、在庫回転月数が低下すれば、売上に対する在庫のウエイトが軽くなっていることを表します。

在庫を持た無すぎると、売上を増加することができない一方、在庫が増えれば、運転資金が増加して、資金繰りを悪化させてしまいます。

キャッシュフロー面からみた在庫回転月数の詳しい説明はこちら

月商1000万円に増加したケースで、在庫回転月数が2か月から3.5か月に長期化した場合の運転資金を計算してみます。

単位:千円 金額
①売上高 10,000
②商品原価 ①×40% 4,000
③粗利益 ①-② 6,000
④売掛金 ①÷30日×45日 15,000
⑤在庫  ②×3.5か月 14,000
⑥買掛金 ②÷30日×50日 6,666
⑦必要運転資金 ④+⑤‐⑥ 22,334

運転資金が1,634万円から2,233万円へ増加してしまっています。

つまり、庫回転月数が2か月から3.5か月へと1.5か月長期化した場合、同じ売上、原価、利益の金額にも関わらず、必要な資金が6000万円増加してしまいます。

売上増加時には、ただでさえ、売掛金が増加するため、運転資金が増加します。

そして、在庫管理を行いながら、売上アップを行わない場合、運転資金が653万円から2,233万円増加してしまいます。

結果、手元資金が乏しい場合、資金繰りが非常に苦しくなってしまうことがあります。

以上のように売上アップをした場合、売掛金の増加、在庫の増加、買掛金の増加に対応する運転資金が新たに必要となり、資金繰りが悪化してしまいます。

売上ダウンしたの時の資金繰りはどうなるか

一方、EC、ネットショップ経営を行っていて、売れ筋・代替え商品の競合の出現による売上ダウン、年末商戦後の売上ダウンなど売上が減少した場合の資金繰りを考えてみます。

上記の例で説明すると、月商1,000万円から月商400万円にダウンすると運転資金が1,634万円から980万円へ減少します。

必要な運転資金が654万円減少するため、資金繰りは改善するか悪化するは、売上減少の理由によって異なります。

売れ筋商品の売れ行きが落ち、売上が減少した場合には資金繰りは悪化します。

通常、売れ筋商品などの売上が減少する場合、在庫が増加してしまうため、在庫回転月数が長期化します。

さらに値引きによる利益の減少が生じることが多いため、資金繰りが悪化してしまうケースが多いため、売上減少時にも資金繰りが悪化してしまうためです。

一方、年末商戦後の売上ダウンの場合には、資金繰りが改善することが多いです。

理由は、計画的な仕入を行っている場合、在庫が売上の減少と同時に減少し、それほど売上減少前に比べて在庫回転月数が変わらないことが多いからです。

そして、売掛金、在庫、買掛金が減少し、必要な運転資金が減少し、さらに年末商戦時の利益が翌月に入金されるため、さらに資金繰りが改善します。

 

売上増加に伴う運転資金をどうやって確保するか

これまで説明してきた売上増加に伴う運転資金のことを増加運転資金と言います。

この増加運転資金の場合、銀行は積極的に融資を進めてくれます。

銀行からの融資は利益を原資に返済していきます。

なぜなら、売上増加=利益増加となるため、銀行側からすれば、返済の見込みが高いため、安心して融資することができます。

スムーズな資金繰りを行うためにも資金が必要な理由が利益が伴う売上増加に伴う増加運転資金であることを銀行側に説明する必要があります。

ただ売上が増加するだけではなく、利益も同時に増加することについて銀行に説明できれば、さらに積極的に融資を進めてくれると思います。

そして、今後売上の急激な増加が見込まれ、手元資金に余裕が無ければないほど、少しでも売上アップの兆しが見えたタイミングでいち早く銀行へ融資の申し込みが必要となります。

資金調達が間に合わない場合、売上アップの機会を品切れなどで指をくわえて待っておくか、積極的に仕入を進めてしまう場合、資金ショートしてしまうことにつながりかねません。

よって、日常的にタイムリーな試算表の作成とビジネスを実態をしっかり表している試算表が大切になります

試算表とは損益計算書と貸借対照表のこといい、会計ソフトで経理を行うことで作成することができます。

EC、ネットショップは取引量が多いため、通常の会計ソフトに入力すると非常に時間がかかってしまうケースがあります。

EC、ネットショップにおすすめなのがMFクラウドやfreeeと呼ばれるクラウド型の会計ソフトです。

MFクラウドやfreeeは、預金、クレジットカードを自動で会計ソフトに取り込むことができるため、90%以上の経理処理を入力することなく、自働化することができます。

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売上アップによる資金繰り対策のまとめ

以上のようにEC、ネットショップ経営で売上アップする場合の資金繰りへの影響とその原因、銀行対策についてご説明してきましたが、資金繰りに対する以下のような事前の対策が重要となります。

・現状の売上における運転資金の把握
・今後の売上が増加した場合に増加する運転資金のシュミレーション
・経理を毎月、早めに行うことによるスピーディーな試算表の作成
・できるだけ多めの手元資金を確保すること

実際の売上アップは、予測することは難しい面があるだけに、出来る限り事前の準備を行うことで、販売機会を失ってしまうリスク、資金繰り悪化のリスクを防止できるかと思います。

今後の売上アップを目指しているEC、ネットショップ経営をされている方、是非ご参考にされてみてください。

 

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