ネットショップを個人事業主として開業した際に税務署へ提出する届出書について説明しています。
開業した際の税務署への届け出は事業を行う方に義務になっていますが、提出が多少遅れたとしても特段ペナルティーはありません。
しかし、いくつかある届出書のうち、届け出を行うかどうか任意の届出書においては、提出しないとメリットを受けることができません。
そして、提出が任意の届出書は提出することによってメリットのある届出書は、一定期間内に行わなければ、メリットを受けることが出来ないものが多くあります。
個人事業主としてネットショップを開業した際の税務署について説明しています。
目次
税務署に提出する届出書一覧
ネットショップで開業する際に提出する届出書の種類は以下のようになります。
届出名 | 届出は必須か | 届出内容 | 届け出期限 |
① 個人事業の開業届出書 | 必須 | 開業内容の届出 | なるべく早めに |
② 青色申告承認申請書 | 任意 | 青色申告をスタートする届出 | 開業後2か月以内 |
③ 給与支払事務所等の開設の届出書 | 任意 | 人を雇った時に行う届出 | なるべく早めに |
④ 源泉所得税の納期の特例に関する申請書 | 任意 | 源泉税の納付を半年毎にする届け出 | – |
⑤ 青色事業専従者給与に関する届出書 | 任意 | 家族への給与を経費にする時に行う届出 | 開業後2か月以内 |
⑥ 減価償却資産の償却方法の届出書 | 任意 | 定率法を選択する時に行う届出 | 最初の確定申告期限 |
⑦ 消費税課税事業者選択届出書 | 任意 | 消費税還付を受けるときに行う届出 | 初年度の年末、12月31日まで |
⑧ 消費税課税期間特例選択届出書 | 任意 | 消費税還付を年4回、12回に増やすときに行う届出 | 詳細は下記 |
以下でそれぞれの届出書の内容と届け出期限、注意点について説明していきます。
個人事業の開業届出書
個人事業の開業届出書は、開業した際に作成し必ず届け出が必要な届出書です。
一般に開業届書と言われるものです。
どこで事業を行っているのか、氏名、屋号、生年月日、開業の日付などを記載して税務署に提出します。
この「個人事業の開業届出書」は、1年目の確定申告を終える前は、事業を行っていることの証明になります。
また、屋号入りの預金通帳を作る時にはこの開業届書が必要になるので、開業後早めに提出した方が良いと思います。
青色申告承認申請書
青色申告承認申請書とは、青色申告を行う場合に提出します。
青色申告とは、簿記、経理のルールによって会計帳簿を作る方が行うもので、青色申告を行わない場合には白色申告を行うことになります。
青色申告を行えば、以下のような税金面での様々なメリットがあります。
また、融資を受ける際の金融機関からの評価も上がります。
青色申告を行うには、開業日から2か月以内に青色申告承認申請書を提出する必要があります。
1日でも提出が遅れた場合には、白色申告となってしまうのでご注意ください。
青色申告のメリット
青色申告を行うメリットは以下のようなものがあります。
・赤字を3年間繰り越して、赤字発生以降の年の黒字と相殺して税金を計算できる
・30万円未満の備品などを購入した年に一括で経費にすることができる
・申告の際に事業の利益から10万円又は65万円控除することができる(青色申告特別控除)
青色申告特別控除の具体的なメリットはこちら
・事業の手伝いをしている家族に一般の従業員と同じように給与を支払い、経費にすることができる(青色専従者給与)
青色専従者給与の具体的なメリットはこちら
・税務調査の際に資料を紛失している場合など税務署が推測した税額に対して反論することできる
・従業員数が増加した場合や多額の設備投資を行った場合など優遇税制を受けることができる
青色申告を行うための要件
・簿記のルールに従って会計ソフトで経理を行うこと
・領収書、請求書、契約書などの書類を保管すること
給与支払事務所等の開設の届出書
給与支払事務所等の開設の届出書とは給与から所得税を天引きが必要な従業員を雇用した際に提出する届出書です。
所得税の天引きが必要かどうかは給与金額と扶養の人数によって決まります。
扶養がゼロの場合には、社会保険控除後の月額の給与金額が88,000以上になると天引きが必要となります。
源泉所得税の納期の特例に関する申請書
源泉所得税の納期の特例に関する申請書とは、給与から天引きした所得税を納めるタイミングを毎月から半年に一回へ少なくするための届出書です。
給与から天引きした所得税のことを源泉税と言います。
源泉税は通常毎月納めるのですが、毎月、金融機関の窓口に言って納めるのはめんどうですし、半年に一回にした方が資金繰りが楽になります。
そんな時にこの源泉所得税の納期の特例に関する申請書を提出して源泉税を納めるタイミングを毎月から半年に一回することができます。
ただし、源泉所得税の納期の特例に関する申請書は、従業員数が10名未満の場合に使える制度で、10名以上になると使えないのでご注意ください。
青色事業専従者給与に関する届出書
青色事業専従者給与に関する届出書とは、青色申告を行っている場合で生計を同じにしている家族に対して給与や賞与を支払い、経費にしたい場合に提出する届出書です。
青色事業専従者給与に関する届出書は青色申告を行っている方しか提出することができず、
この青色事業専従者給与に関する届出書がなければ、生計が同じの家族に支払う給与は経費にすることができません。
青色事業専従者給与に関する届出書には、家族の名前、続柄、年齢、勤務年数、仕事の内容、給与金額、賞与金額など詳細に記載して税務署へ提出します。
青色申告の承認申請書と同様、届出書の提出期限は開業日より2か月以内となっているのでご注意ください。
減価償却資産の償却方法の届出書
減価償却資産の償却方法の届出書は、減価償却の方法を定額法から定率法へ変更する際に提出する届出書です。
青色申告を行っている場合にはパソコンなど30万円以上の備品などを購入した場合、一旦資産に計上し、減価償却費として経費にしていきます。
減価償却の方法は毎年同じ金額を減価償却費として計上する定額法と購入し、早いタイミングで多額の減価償却費として計上する定率法があります。
定額法も定率法も経費にできる総額は変わりませんが、定率法の方が早めに経費出来るという意味で、一般的には定率法を選択したほうが資金繰り的には有利です。
減価償却資産の償却方法の届出書に定率法を選択する旨の記載を行い提出することで定率法を選択することができますが、提出しない場合には定額法しか選択することができません。
減価償却資産の償却方法の届出書は、他の届出書と比べて提出期限が遅く、最初の確定申告の提出期限が届出書の提出期限となっています
消費税課税事業者選択届出書
消費税課税事業者選択届出書は、海外amazon(アマゾン)、ebay(イーベイ)など輸出を行っている方で消費税還付を受ける場合に作成する届出書です。
消費税は、何の届出も行わなければ売上が1000万円超えた翌々年からスタートしますが、この消費税課税事業者選択届出書を提出すれば、事業開始初年度から消費税申告をスタートすることができます。
開業した年は、開業した年の12月31日までに税務署に提出すれば、開業した年の仕入、経費にかかる消費税の還付を受けることができます。
この消費税課税事業者選択届出書を提出し、消費税申告をスタートした場合には、2年間消費税申告を行う義務が発生するので、国内販売を行う予定がある場合にはご注意ください。
消費税還付を受けた場合の詳しいメリットはこちら
消費税課税期間特例選択届出書
消費税課税期間特例選択届出書とは、消費税の申告回数を増やし、消費税の還付タイミングを年1回から4回、12回へ変更するための届出書です。
消費税の申告を3か月単位又は、1か月単位で行います。
消費税の還付回数、タイミングを早め、資金繰りを有利に行うためのものです。
この届を行った場合には、消費税課税事業者選択届出書の提出を行った場合と同様2年間の継続して消費税の申告の回数を増やす必要があるのでご注意ください。
詳しいメリットと制度の説明はこちら
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