国内で商品の仕入を行い、ebay(イーベイ)やUS Amazon(アマゾン)で出品販売している方など海外向けに輸出販売を行っているセラーの方向けに消費税の還付を受けるメリットとデメリットについて説明しています。
まずは、簡単になぜ輸出販売を行っているセラーの方が消費税還付を受けることができるかどうかについてですが、
日本の消費税は、消費した国が日本の場合、課せられる税金です。
海外への輸出の場合、輸出された商品は、日本ではなく、海外で消費されるため、日本の消費税の対象とはなりません。
よって、国内で仕入れた際に、支払った消費税の金額などを税務署に申告することによって、いったん支払った消費税を還付してもらうことができます。
ただし、輸出販売している=消費税の還付を受けることができるわけではなく、税務署に申告することが条件となりますので、ご注意ください。
消費税の還付を受けることが仕入や経費の範囲とは
消費税の還付の対象となるのは、具体的には、以下のような内容の支払いです。
①日本国内で仕入れた商品代金
②日本国内で支払った研修費や交際費や消耗品や旅費や事務所家賃、水道光熱費などの経費
給与、バイト代、社会保険料、海外向け送料は対象となりませんのでご注意ください。
③売上から差し引かれるebay(イーベイ)やUS Amazon(アマゾン)に支払う出品手数料
特に、消費税のルールに昨年一部変更があり、③が消費税の還付の対象となりました。
売上金額が大きい方は、消費税の還付の金額に大きく影響しますので、ご注意ください。
消費税の還付を受けるキャッシュフローメリットについて
消費税の還付を受けるキャッシュフロー面のメリットについて説明していきます。
仮に、全額が輸出販売の場合で月間の売上額が300万円、商品原価率80%、出品手数料率売り上げの8%、その他経費が毎月70万円(うち給料20万円)かかっているとします。
このケースで消費税の還付を受ける場合とそうで場合でどのようにキャッシュフローが変化するか検討してみます。
まず、消費税の還付を受けないケースですと、月間及び年間の売上、利益は以下のようになります。
単位:万円 | 月間 | 年間 | 説明 |
①売上 | 300 | 3,600 | 海外売上 |
②商品原価 | -160 | -1,920 | 国内仕入 |
③出品手数料 | – 24 | -288 | ebay(イーベイ)やUS Amazon(アマゾン) に支払う手数料 |
④粗利益 | 116 | 1,392 | ①-②-③ |
⑤ 給与 | -20 | -240 | 消費税還付の対象にはなりません |
⑥その他経費 | -50 | -600 | 消費税の還付の対象となります |
⑦経費合計 | -70 | -840 | ⑤+⑥ |
⑧利益 | 46 | 552 | ④ー⑦ |
このような事業を行っている場合、消費税の還付金額は、ひと月あたり、約17万円、年間208万円になります。
これが、消費税の還付を受けると以下のように変化します。
単位:万円 | 月間 | 年間 | 説明 |
①売上 | 300 | 3,600 | 海外売上 |
②商品原価 | -160 | -1,920 | 国内仕入 |
③出品手数料 | – 24 | -288 | ebay(イーベイ)やUS Amazon(アマゾン) に支払う手数料 |
④粗利益 | 116 | 1,392 | ①-②-③ |
⑤ 給与 | -20 | -240 | 消費税還付の対象にはなりません |
⑥その他経費 | -50 | -600 | 消費税の還付の対象となります |
⑦経費合計 | -70 | -840 | ⑤+⑥ |
⑧利益 | 46 | 552 | ④ー⑦ |
⓽消費税還付金額 | 17 | 208 | 計算式:(②商品原価+③出品手数料+⑥その他経費 )÷1.08×8% |
⑩消費税還付後利益 | 63 | 760 | ⑧+⑨ |
結果、還付前の月間利益が46万円⇒還付後の月間利益63万円へ 17万円アップ⤴
還付前の年間利益が552万円⇒還付後の年間利760万円へ 208万円アップ⤴
208万円の利益を消費税の還付を受けずに追加で稼ぐには、いくら必要かを計算してみます。
208万円÷(100%-商品原価率80%-出品手数料率8%)=1,733万円
年間の消費税還付金額に相当する208万円の利益を稼ぐには、1,733万円相当の売上が必要になります。
消費税の還付を受けなかった場合の5.7か月(1,733÷300)相当分の売り上げに相当し、売上金額が約1.5倍になった場合と同じ利益です。
海外輸出販売を行っている場合、以上のように消費税還付のキャッシュフローメリットは無視できません。
また、売り上げや仕入規模が大きければ大きいほど、そのキャッシュフローメリットは大きくなります。
消費税の還付を受ける戦略面のメリット
キャッシュフロー面で消費税還付のメリットを踏まえ、どのような戦略面でのメリットがあるのか考えてみます。
まず、資金繰りが良くなります。
消費税還付は、1年に1回、4回、12回のいずれかから還付のタイミングを選択することができます。
1年に12回の消費税還付を受ける場合には、毎月の消費税の申告、1年に4回の消費税の還付を受けるには、年に4回の消費税の申告が必要です。
消費税の還付をうけることにより、定期的なキャッシュインがあるため、目先のキャッシュフローが安定し、資金繰りを考えず、経営に集中することができるようになります。
また、消費税の還付を受けることは、実質的な仕入や経費に含まれる消費税が戻ってくるため特に仕入のコストが消費税分を抑えられることになります。
仕入れコストの低下⇒価格競争力のアップにつながります。
競合が多く、低めの利益率と商品の高い回転率によって、利益を獲得するビジネスの場合、
価格競争力のアップは大きな武器になります。
消費税還付を受けるデメリット
消費税還付を受けるには、税務署に消費税の還付申告する必要があります。
消費税の還付申告をするには、ご自身で行う方法、税理士事務所に依頼する方法があります。
ご自身で行う場合、会計ソフトを利用することをおすすめします。
消費税の集計をエクセルベースで行うのは大変ですし、freee(フリー)などのクラウド会計アプリを利用すれば、消費税の申告書まで自動作成できるからです。
これらを会計ソフトで行うには調べる時間と手間がかかってしまうデメリットがあります。
そして、ご自身で行い正しくできるとは限りません。
消費税の還付申告の場合、税務調査のリスクが通常の国内の事業者の方に比べて高くなっていますので、できるだけ正しく申告したほうが良いと思います。
もう一つの方法は税理士事務所に依頼することです。
税理士事務所に依頼する場合、手間と時間はかからない代わりにコストがかかってしまいます。
そして、輸出販売の経理処理、会計処理は、特殊なため、税理士事務所によっては引き受けない事務所もあるそうです。
おすすめは、MFクラウド会計やfreee(フリー)などクラウド会計を積極的に導入している税理士事務所です。
なぜなら、クラウド会計はPaypal(ペイパル)などと連動しており、ネットショップ経営との相性が抜群だからです。
まとめ
長くなりましたが、輸出販売のみを行っている方は、消費税還付のメリットとデメリットを十分に把握したうえで、一定の金額以上のメリットがある場合にはぜひ、消費税還付を受けられてください。
弊所のお客様で、年に4回、3か月に1回の消費税還付を受け始め、徐々に業績が上向きになり、1年後、キャッシュフローの面で、相当程度体力がついた方がいらっしゃいます。
是非ご検討されてみてください。
消費税の還付回数を増やす方法はこちら
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