新規に事業を開始した方、法人を設立した以外の方以外の前年度より事業を行っているで、消費税還付を受けるためには、前年度末までに消費税課税事業者選択届書を作成し、税務署に提出する必要があります。
前年度末までに消費税課税事業者選択届書の提出が1日でも間に合わなかった場合には、通常ですと、消費税還付を受けることができません。
また、年度の途中で、USAmazonやeBay等で販売をスタートした場合も通常ですと、消費税還付を受けることができません。
しかし、ある2つの書類を税務署に提出すれば、前年度末までに消費税課税事業者選択届書を提出し忘れた場合でも今年度から消費税還付を受けることができます。
ここでは、消費税課税事業者選択届書の提出が間に合わなかった場合に消費税還付を受ける方法について説明しています。
前年度の12月31日までに消費税課税事業者選択届書ができなかった場合に消費税還付を受けるには、以下の2つの手続きを同時に行います。
①消費税の計算期間を通常の1年間から3か月間か1か月間に区切る⇒課税期間特例選択届出
②計算期間を区切ると同時に消費税課税事業者選択届書を提出
消費税の計算期間を3か月間又は1か月間に区切るとは
消費税の計算期間を3か月間又は1か月間に区切ることを消費税課税期間の特例選択といいます。
通常の消費税の計算期間(=課税期間)は、1年間ですが、税務署に「消費税課税期間特例選択届出」作成し、提出することで特例として3か月間、1年間に区切ることが可能になります。
「消費税課税期間特例選択届出」を提出し、課税期間を変更する場合、個人事業の方の場合、以下のような消費税の計算期間になります。
3か月間に区切る場合の消費税の計算期間 | 1か月間に区切る場合の消費税の計算期間 |
①1月1日~3月31日 | ①1月1日~1月31日 |
②2月1日~2月28日 | |
③3月1日~3月31日 | |
②4月1日~6月30日 | ④4月1日~4月30日 |
⑤5月1日~5月31日 | |
⑥6月1日~6月30日 | |
③7月1日~9月30日 | ⑦7月1日~7月31日 |
⑧8月1日~8月31日 | |
⑨9月1日~9月30日 | |
④10月1日~12月31日 | ⑩10月1日~10月31日 |
⑪11月1日~11月30日 | |
⑫12月1日~12月31日 |
なぜ、わざわざ消費税の計算期間を区切るかというと、消費税の還付を受けるために必要な届出書である消費税課税事業者選択届書の届出期限が消費税の計算期間(=課税期間)の前日までに提出することとなっているからです。
消費税の計算期間を区切ることによって、以下のように消費税課税事業者選択届書及び消費税課税期間特例選択届出書の提出期限の時期が変わります。
3か月間に区切る場合の消費税課税事業者選択届出書及び消費税課税期間特例選択届出書の提出期限
消費税還付を受け始める時期 | 消費税課税事業者選択届出書及び 消費税課税期間特例選択届出書の提出期限 |
4月1日から | 3月31日 |
7月1日から | 6月30日 |
10月1日から | 9月30日 |
1か月間に区切る場合の消費税課税事業者選択届出書及び消費税課税期間特例選択届出書
消費税還付を受け始める時期 | 消費税課税事業者選択届出書及び 消費税課税期間特例選択届出書の提出期限 |
2月1日 | 1月31日 |
3月1日 | 2月28日 |
4月1日 | 3月31日 |
5月1日 | 4月30日 |
6月1日 | 5月31日 |
7月1日 | 6月30日 |
8月1日 | 7月31日 |
9月1日 | 8月31日 |
10月1日 | 9月30日 |
11月1日 | 10月31日 |
12月1日 | 11月30日 |
1月1日 | 12月31日 |
そして、消費税の課税期間を1年から3か月ごと又は1か月ごとに短縮することで、消費税の還付のタイミングを早めることが可能になります。
そうすることで、年間を通じて消費税還付を受けることができ、キャッシュフローの安定化を図ることができるメリットもあります。
売上規模が大きいセラーの方にとって、このメリットは特に大きくなります。
消費税の課税期間の特例の選択を行った場合の2つの注意点
このように 消費税課税事業者選択届出書及び消費税課税期間特例選択届出書を同時に提出することにより年度の途中から消費税還付を受けることができるようになります。
法人の場合も同様です。
しかし、消費税課税期間特例選択を行った場合2つの注意点があります。
1つめは、消費税課税期間特例選択を行った場合、2年間継続して、選択した課税期間で消費税の申告書を提出しなければならないことです。
例えば、3か月ごとの課税期間を選択した場合、2年間は、ずっと3か月ごとの消費税の申告書の作成を行い続けなければなりません。
3か月ごとの課税期間を選択した場合、2年間は、消費税の課税期間を1年に延長することも、1か月間に短縮するできないのでご注意ください。
期間を区切る場合、売上や仕入れや経費を3か月ごとに集計し、消費税の申告書を3か月ごとに作成し、税務署へ提出することはそれなりの手間がかかってしまいます。
そして、1か月ごとになれば、さらにその手間は大きくなってしまいます。
消費税の申告書の提出期限は、課税期間終了後の2か月後です。
3か月ごとの課税期間を選択した場合、4月1日~6月30日までの消費税の申告期限は、8月31日となります。
年間を通じて消費税の申告が還付申告となる場合には、期限後の申告となっても特段ペナルティーなどありませんのでご安心ください。
もし、国内販売と国外販売の両方を行なっているのであれば、消費税の還付金額を最大化する観点、消費税申告を期限内に行う観点からすれば、法人を設立するなどして、国内販売と国外販売を行っている事業主体を分けたほうがいいかもしれません。
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