ここでは、タイプ別のネット通販の事業者向けに会計ソフトの選び方について説明しています。
これから自社で会計ソフトを導入し、経理をスタートしたい方向けの記事になります。
まず、会計ソフトと言えば、デスクトップ版の会計ソフトとクラウド型の会計ソフトに分かれます。
デスクトップ版で言えば、弥生会計、やよいの青色申告、ソリマチの会計王、エプソンの財務応援などが代表的です。
また、クラウド型の会計ソフトは、マネーフォワードのMFクラウド会計、freee(フリー)などが代表的です。
デスクトップ版の会計ソフトかクラウド型かで言えば、ECなどネット通販、ネットショップの事業者の方は、クラウド型がおすすめです。
その理由は、ECなどネット通販、ネットショップの事業者の方は、預金口座は、インターネットバンキングを利用しており、クレジットカードの利用頻度、回数が多いからです。
クラウド型の会計ソフトであるMFクラウド会計、freee(フリー)はいずれもインターネットバンキングを利用している預金口座とクレジットカードの情報を自動取得するため、入力の手間と入力ミスを大幅に少なくすることができます。
よって、クラウド型の会計ソフトは、マネーフォワードのMFクラウド会計、freee(フリー)の特徴よりタイプ別のECなどネット通販、ネットショップの事業者ごとにMFクラウド会計、freee(フリー)のどちらがおすすめの会計ソフトかについて説明したいと思います。
目次
MFクラウド会計、freeeの機能面と料金面の比較
まず、MFクラウド会計とfreeeの機能面、料金面の比較になります。
MFクラウド | freee(フリー) | |
連携・自動取得 | 預金・クレジットカード同期(リアルタイム同期) 外貨、日本円のPayPal(ペイパル)同期が可能 |
預金・クレジットカード同期 クレジットカードは、支払金額が確定後、同期可能、今後リアルタイム同期予定 日本円のみPayPal(ペイパル)同期が可能 |
特徴 | ベーシックな会計ソフトで慣れるまで時間がかからない | 従来の会計ソフトを大幅に異なる 慣れるまで時間がかかるが、慣れれば、使いやすい |
経理経験者 | 〇 他の会計ソフト(特に弥生会計)からの乗り換えしやすいよう設計 |
△ 経理経験者は、通常の経理ソフトの入力方法が大幅に異なるため、戸惑う可能性あり |
経理未経験者 | △ 簿記の知識がある程度必要 |
〇 簿記の知識がない方でも経理ができるよう設計 |
自動仕訳 | × | 〇 freeeの最大の特徴である完全に自動で仕訳を作成できる |
確定申告・電子申告 | 〇 | 〇 |
消費税申告書作成 | × | 〇 スタンダードプラン以上で利用可能 |
個人事業主 | ベーシック 月額800円 年額8,800円 | スターター 月額980円 年額11,760円 スタンダード(おすすめ) 月額1,980円 年額23,760円 プレミアム 月額3,980円 年額47,760円 部門管理を行うのであれば、プレミアムがおすすめ |
法人 | ライト 月額1,980円 年額21,780円 ペーシック おすすめ 月額2,980円 年額32,780円 3部門以上の管理を行うのであれば、ベーシックがおすすめ |
ライト 月額1,980円 年額23,760円 ビジネス 月額3,980円 年額47,760円 部門管理を行うのであれば、ビジネスプランがおすすめ |
このようにMFクラウド会計とfreeeは、似ているようで料金と機能が大きく異なります。
料金も大事ですが、重視すべきは、機能面の違いです。
ここからMFクラウド会計とfreee、それぞれのおすすめのEC事業者について説明したい思います。
MFクラウド会計がおすすめなEC事業者タイプについて
ECなどネット通販、ネットショップの事業者の方で以下に該当する方は、MFクラウド会計がおすすめです。
・これまで弥生会計を使ってきて、利用方法に慣れている方
・eBayセラーの方
・クレジットカードの利用頻度が多く、利用金額が大きい方
弥生会計ユーザーにMFクラウド会計がおすすめな理由について
弥生会計ユーザーの方におすすめ理由は、MFクラウドは、弥生会計と利用方法が似ています。
通常、会計ソフトの切り替えは、大変ですが、弥生会計とMFクラウドは利用方法が似ているのでスムーズに移行することができるからです。
eBay(イーベイ)セラーの方にMFクラウド会計がおすすめな理由について
また、eBay(イーベイ)セラーの方におすすめの理由は、外貨のPayPal(ペイパル)の自動取得に対応しているからです。
ドル建てでeBay(イーベイ)のドルベースで売上金額がPayPal(ペイパル)に日々入金されると思います。
このPayPal(ペイパル)へのドルベースの入金がMFクラウドでは、日々その日のレートで自動為替計算され、自動取得することができるからです。
eBay(イーベイ)日々大量のeBay(イーベイ)ドルベースの売上を日本円に計算しなくてはなりませんが、これが自動で計算されたものを経理処理することができます。
この機能は現在、freee(フリー)にはない機能で、MFクラウド会計のみが持つ機能です。
よって、eBay(イーベイ)セラーの方は、MFクラウド会計を使うことで、経理時間をかなり短縮することができます。
クレジットカードの利用頻度が多く、利用金額が大きい方にMFクラウド会計がおすすめな理由について
MFクラウドは、日々のクレジットカードの利用金額、利用の内容をMFクラウド側で日々自動取得することができます。
一方、freee(フリー)では、月々の決済額が確定するまで、freee側で自動取得することができません。
サイトの長い楽天銀行を利用している場合、月末締めの翌月27日払いで、支払い金額が確定するのは、毎月12日です。
freeeの場合、翌月12日まで待たないと、freee側で自動取得することができません。
freee側で自動取得できないと当然経理処理することができないので、月々の経理処理を終え、利益が確定するタイミングがMFクラウドより遅くなってしまうのです。
例えば、12月の経費や仕入の金額が1月12日まで待たないと、月々の経理処理を行うことができないことになります。
ECなどネット通販、ネットショップの事業者の方は、通常、クレジットカードの利用金額が大きいため、クレジットカードの利用分の利益に与える金額的インパクトは、重要となるため、日々自動取得できるMFクラウド会計がおすすめとなります。
但し、freee側でも日々クレジットカードの自動取得ができるような開発が進んでいるのことですので、この点については、MFクラウドもfreeeも違いは今後なくなるかもしれません。
freee(フリー)がおすすめなEC事業者タイプについて
ECなどネット通販、ネットショップの事業者の方で以下に該当する方は、freeeがおすすめです。
・経理経験が全くない方
・海外Amazonセラーなど消費税申告がある方
経理未経験者にfreeeがおすすめな理由について
freeeの最大の特徴は、完全自動仕訳機能です。
完全自動仕訳とは全く何もせず、経理処理が終了することができます。
MFクラウドにはない機能です。
例えば、仕入先のA会社に対する支払があった時に、A会社に対する支払は自動的に仕入と処理してしまう機能です。
通常、クラウド会計では、自動取得された明細について「勘定科目」を選び、経理処理する必要があります。
しかし、freeeでは「勘定科目」すら選択することなく、経理処理が終わってしまうのです。
使いこなすことができれば、かなり便利な機能ですが、freee上で、「自動仕訳ルールの設定」よりパターン登録する必要がありますので、初期設定が大切になります。
海外Amazonセラーの方にfreeeがおすすめな理由について
MFクラウドになくて、freeeにのみある機能で、消費税の申告書作成機能です。
経理処理した結果をいちいちe-Taxに入力することなく、自動で消費税の申告書を作成することができます。
年間1回、4回、12回など複数回の消費税還付の申告書も作成することができるのが、うれしいところです。
eBayで販売を行っていない、海外のUS、CAなどのAmazonセラーの方で年間複数回の消費税還付を受ける方にとってはおすすめです。
海外のUS、CAなどのAmazonセラーの場合には、PayPay(ペイパル)を経由しないため、MFクラウドもfreeeも大きな違いはないからです。
MFクラウド会計とfreeeの比較のまとめ
長々となりましたが、ECなどネット通販、ネットショップの事業者の方向けにMFクラウド会計とfreeeの比較を行いました。
以上のことをまとめると、MFクラウドに向いている方は、以下のような方です。
・これまで弥生会計を使ってきて、利用方法に慣れている方
・eBayセラーの方
・クレジットカードの利用頻度が多く、利用金額が大きい方
そして、freeeに向いている方は、以下のような方です。
・経理経験が全くない方
・海外Amazonセラーなど消費税申告がある方
注意していただきたいのは、これらは、あくまで一般的な比較になります。
例えば、eBayセラーの方で、売上を日本円で自動集計・計算することがすでに出来ている場合には、MFクラウドの機能を使うまでもないですし、海外Amazonセラーの方で、年間複数回の消費税の還付申告をe-Taxを使って行うことにストレスを感じていない方にとっては、これらの比較は参考にならないからです。
そして、MFクラウド、freeeともに、機能面では日々改善が進んでいるため、これらの違いはなくなる可能性もあります。
これからクラウド会計を使って経理をスタートするECなどネット通販、ネットショップの事業者の方のご参考になれば幸いです。
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