この記事では、200社以上のネットショップ経営をサポートしてきた税理士が相談を良くいただく「ROAS(ロアス)」について解説しています。
この記事を読むと以下のことが分かるようになります。
・ROASを使って売上だけでなく、利益を増やすための方法
ROASを重視して、間違った使い方をしてしまうと、売上は増加する一方で、利益が全然増えなかったり、利益は横ばいで在庫が増えてしまい、キャッシュフローが悪化している決算書をたくさん見てきました。
是非参考にされてください。
目次
ROASとはどんな指標
ROASとは、投下した広告費に対していくらの売上を回収できたかどうかを測定する指標です。
Return On Advertising Spendの頭文字をとった指標で、「ロアス」と言います。
100%であれば、広告費に対して100%の売上が回収できたことを意味します。
売上を増やすために投下した広告費の成果が出ているかを表す指標になります。
この指標の高ければ高いほど、広告から成果が高いと成果が出ていると捉えます。
ROASは何%がいいのか?
良くいただくご質問が「ROASは何%が良いのか」です。
結論から申し上げますと、適正なROASは、その会社によって異なります。
その適正なROAS、目標とすべきROASを求める方法以下で説明します。
適正なROAS、目標とするべきROASの計算方法
以下のステップで計算します。
- まず、いくらの広告費をかけて、いくらの利益【売上総利益】を増やしたいかを決めます。
- 次に、目標販売計画の作成
- 次に、自社が目標とするROASを計算します。
この計算方法は、リピートを考慮した目標値の計算方法ではなく、リピートを加味しなくても、損益計算書ベースで利益を増やすための考え方になる点ご注意ください。
直近の利益ではなく、その他の目的とする広告であれば、上記の式の「いくらの利益」が「顧客数」などに目標沿った数値に入れ替わります。
ステップ① 目標限界利益を計算する
ここでは、利益を増やす目的で広告を行うとして、まず、広告費予算(広告費をいくらかけ)、目標売上総利益(いくらの売上総利益を増やしたいか)を明確にします。
たくさん利益がでてくるので整理すると、
・売上-変動費=限界利益(広告費控除前の利益)
・限界利益-広告費=売上総利益(広告費控除後の利益)
売上から変動費を控除した後に残る利益が限界利益です。
この利益を粗利益と呼ぶ人もいるようです。
変動費には、商品原価、包材費、送料、モールなどへの販売手数料、カード手数料などを含み、売上数の増加と比例して増加するコストを変動費とします。
広告費をかければかけるほど売れるとは限らないため、変動費には含めて考えないようします。
次に、売上総利益とは、売上から変動費、広告費を控除した後の利益です。
ココでは説明の便宜上、売上総利益としているだけで、自社の利益の計算方法に合った名前の利益で管理していただいて構いません。
ここで、広告費予算と目標売上総利益が明確になれば、目標限界利益が明確になります。
ステップ② 目標販売計画を作成する
目標限界利益をどうやって稼ぐかを計画します。
どの商品を、いくらで、何個販売すると、いくらの原価がかかり、目標とする限界利益を稼ぐための方法を可能な限り具体化していきます。
ここで、絶対に注意やめていただきたいは、限界利益率(粗利益率)を使って、目標売上を計算し、ROASを計算してしまうことです。
この限界利益率(粗利益率)を使うことで、広告費をかけた結果、目標利益が稼ぐことができなかったお客様を数多く見てきました。
限界利益率(粗利益率)を使うと良くない理由は、どの商品をいくらで、みたいに計画が具体化しないため、絵に描いた餅になってしまうリスクが高くなってしまいます。
どの商品ページにどんなクリエイティブを‥みたいなレベルで各施策を可能な限り具体的にしていくプロセスであるここが一番大事なポイントです。
厳密にはステップ①と行き来し、広告費予算、目標売上総利益を再設定しながら、販売計画を作成していきます。
各施策を具体化し、目標限界利益を稼ぐための販売計画を以上のように立てることができたとします。
結果的に、売上目標が600万円になりました。
ステップ③ 目標ROASを計算する
ステップ①で設定した広告費予算50万に対して、ステップ②で設定した売上目標が600万だとすると適正なROAS、目標ROASは以下のようになります。
目標ROAS=600万÷50万=1200%
目標売上総利益150万を稼ぐためには、広告費に対して1200%の売上を増やすことが目標となります。
ROASの活用方法のまとめ
ROASは500%、1000%を超えていれば、問題ないとか、色んな話を聞くことがありますが、何より大切なのは、自社が利益を稼ぐこと、キャッシュを増やすことです。
ここでは、利益のみにフォーカスしましたが、ROASを重視すると、いつのまにか売上が目標値になってしまい、知らず知らずのうちに在庫が増加してしまい、キャッシュフローが悪化しているケースがあります。
在庫も含めて、ROASを含めた計画の作成、PDCAのサイクルが大切だと思います。
是非参考にされてください。
ROASを含め、EC、ネットショップのキャッシュフローの最適化の無料相談を行っております。
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