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金券ショップで購入した切手を国際郵便(EMS)の支払に使った場合の消費税の取り扱い方法について解説

最近、ebay(イーベイ)や海外Amazonセラーの方から金券ショップで購入した切手を国際郵便を貼って輸出した場合の消費税の取り扱いについてお問い合わせが増えてきています。

「金券ショップで購入した切手の購入代金は消費税還付の対象となる聞いたのですが‥」
「切手を購入した領収書を消費税還付の対象として、消費税の申告を行っているのですが‥」

ここでは、金券ショップで購入した切手を輸出の際のEMSなどの国際郵便の送料支払いに使った場合、消費税の還付対象になるのかについて説明しています。

結論から言いますと、金券ショップで購入した切手でEMS料金を支払った場合は、切手の購入代金は、消費税の課税対象ではなく、消費税の対象外取引となり、還付対象となりません。

一方、金券ショップで購入した切手を国内郵便に利用した場合には、消費税の課税取引となり、消費税の対象取引となります。

理由は、切手で国際郵便のEMS料金を支払った時には以下のように2つの取引に分解して考えることができるからです。

①切手を現金で販売した⇒国内で販売したので課税売上
②切手を販売した現金でEMS料金を支払った⇒国際郵便は消費税の課税の対象外

つまり、切手の購入時点で課税仕入れとなり、利用時点で消費税の課税売上が計上されてしまうからです。

金券ショップで購入した時点と郵便局でEMS料金を支払った時点に分けて考えると消費税は以下のような取扱いになります。

取引内容  還付される消費税と支払う消費税
①金券ショップで10万円切手を購入した時点の消費税の取り扱い 10万円÷1.08×8%=7,407円の消費税の還付となります
②郵便局で10万円EMS料金を切手で支払った時点の取り扱い 10万円÷1.08×8%=7,407円の消費税の納付となります
①、②の2つの取引合計 7,407円の還付と7,407円の納付が相殺されてゼロ=消費税の還付の対象となりません。

 

以降では、なぜこのような取扱いになるのかについて詳しく説明していきますが、その前に、消費税還付金額に対する影響額について説明します。

 

税務調査で消費税還付取消になってしまった場合の支払う税金について

ただ、ebay(イーベイ)や海外Amazonセラーの方など越境ECビジネスをされている方にとってなぜ、切手で支払ったEMS料金が消費税の課税の対象とならないのかはビジネス上非常に大切なことだと思います。

ebay(イーベイ)や海外Amazonセラーの方は、国際送料金額が売上の10%ほどになることが多く、全額国際送料を切手払いしているとすると、月商100万円のセラーの方ですと、年間約9万円、月商1,000万円のセラーの方ですと、年間約90万円、消費税還付金額が変わってきます。

そして、税務調査は、基本3年間が対象となるため、月商1000万円のセラーの方ですと270万円の消費税の還付の取消となり、270万円の支払が発生してしまい、ペナルティーの約20万円の過少申告加算税が加算されてしまいます。

さらに270万円に対して、年利3%弱の延滞税という利息が支払った時期に応じて追加されてしまうのです。

なぜEMS料金を切手で支払った場合には消費税の課税対象とならないのか

前置きが長くなってしまいましたが、ここから金券ショップで購入した切手を輸出の際のEMS料金の支払いに使った場合には、消費税の対象外となり、国内郵便に使った場合には、消費税の対象取引(課税取引)になるのかについてこれから説明していきます。

消費税が課税の対象になるかどうかは、「消費税法」に基づき決まります。

よって、ここからは、消費税の基本的な仕組みと内容的に消費税法に関する説明が必要となります。

まず国に申告する際の消費税の計算方法の仕組みは以下のようになっています。

課税売上に対する消費税-課税仕入に対する消費税=プラスであれば、消費税の納付となり、マイナスであれば、消費税の還付となります。

ebay(イーベイ)や海外Amazonセラーの方など輸出を行っている場合、課税売上がゼロとなり、課税仕入は、国内で支払った仕入代金、経費の金額が入りますので、マイナスとなり、消費税の還付となります。

課税仕入が増えれば、消費税還付金額が増加し、課税仕入が減れば、消費税還付金額が減少します。

切手を国際郵便EMS料金の支払いに利用した場合、消費税がかからない理由は、消費税法上以下のような取引なるからです。

切手の購入時点:消費税の還付の対象取引=課税仕入取引
切手の利用時点:消費税の支払・納付の対象取引=課税売上取引

消費税法では、切手による国際郵便の支払いは、課税資産である切手を販売(=課税売上)し、その販売代金で、国際郵便のサービスの提供(=消費税の対象外)を受けたこととして取り扱われるのです。

切手の利用時点でなぜ、課税売上取引となるのかは、消費税法28条の内容に触れる必要があります。

消費税法28条には以下のような記載があります。

消費税法28条
課税資産の譲渡等に係る消費税の課税標準は、課税資産の譲渡等の対価の額(対価として収受し、又は収受すべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額とし、課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額に相当する額を含まないものとする。以下この項及び次項において同じ。)とする。

この消費税法28条の下線部分より、課税売上に含めるべき範囲は、実際にお金を受け取っていなくても、受け取るべき金額をもって計算することになってしまうのです。

そして、課税売上に含める金額は、以下の消費税法基本通達では以下のようになっています。

10-1-1 法第28条第1項本文《課税標準》に規定する「課税資産の譲渡等の対価の額」とは、課税資産の譲渡等に係る対価につき、対価として収受し、又は収受すべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他の経済的利益の額をいい、消費税額等を含まないのであるが、この場合の「収受すべき」とは、別に定めるものを除き、その課税資産の譲渡等を行った場合の当該課税資産等の価額をいうのではなく、その譲渡等に係る当事者間で授受することとした対価の額をいうのであるから留意する。

授受することとした対価の額=国際郵便料金=課税売上の金額となるのです。

以上のように分かりにくい説明になってしまいましたが、金券ショップで購入した切手をEMSの国際郵便料金支払いに使用した場合に消費税の還付対象にならない理由はこのようになります。

仮に、金券ショップで購入した切手をEMSの国際郵便料金支払いに使用しない場合には、消費税の課税対象となり、消費税の還付対象となります。

最近は、郵便局の方からも切手に関する消費税の取り扱いについて質問をいただくことがあり、様々な見解が分かれていると聞きます‥

輸出を行っているebay(イーベイ)や海外Amazonセラーの方にとって消費税の還付は影響が大きいかと思いますので、参考にしていただければ幸いです。

具体的な金券ショップで切手を購入し、EMS料金を支払った場合の経理処理方法はこちら

2 Comments

いわもん

いつも勉強させて頂いております。
記事を見て疑問に思いましたのでコメントさせてもらいます。
記事後半の”切手の利用時点:消費税の支払・納付の対象取引=課税売上取引”の理屈で
言えば、国内利用のものも課税売上となり結果として切手は課税仕入れになりえないという
理屈になると思うのですがいかがでしょうか?

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佐藤  修一

いわもん様
ご質問ありがとうございます。
コメント気づかず、お返事大変遅くなってしまい申し訳ございませんでした。

ご質問の件ですが、この場合の切手の利用時点には、①切手を販売し=課税売上取引、②販売した資金で、EMS料金を支払う取引=消費税の対象外取引が生じると考えます。

通常の郵便局以外での切手の購入の場合には、切手の購入=課税仕入取引となります。
内容分かりにくく、申し訳ございません。
その他ご質問ありましたらお気軽にご相談下さい。

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