弥生会計でeBay(イーベイ)セラーの方などドルベースで日々Paypal(ペイパル)に入出金がある場合の経理方法について説明しています。
特にeBay(イーベイ)セラーでPaypal(ペイパル)へ日々売上が入金されている場合、ドルで入金されているPaypal(ペイパル)を経理処理しなければ、肝心の売上を処理することが出来なくなってしまいます。
弥生会計ユーザーの方向けに、eBay(イーベイ)セラーでPaypal(ペイパル)へのドル建てで入金される際の仕訳・経理処理について説明しています。
特に、メイン売上又は売上の大半がeBay(イーベイ)の方向けの記事になります。
目次
日本口座への入金時に売上処理することができるのか
まず、思いつく方法としては、Paypal(ペイパル)口座から日本口座へ入金時に売上処理することができるのかについてです。
残念ですが、この方法は経理上認められた方法でありません。
売上は、出荷時に経理処理する必要があるからです。
よって、Paypal(ペイパル)の入金時=eBay(イーベイ)売上処理のタイミングとなります。
では、次にPaypal(ペイパル)の入金時にどのように経理処理を行うのかについて説明します。
ドル建てPaypal(ペイパル)口座を弥生会計で仕訳・経理処理するための5つのステップ
ドル建てPaypal(ペイパル)口座を弥生会計で経理処理・仕訳を行うには、以下のほかにも、色々な方法があります。
大量の取引がある方の弥生会計でドル建てPaypal(ペイパル)口座を経理処理・仕訳処理をこれまで行ってきて、やりやすいと思う方法は、以下のような5つのステップになります。
①ドル建てのPaypal(ペイパル)の明細をCSVでダウンロードする
②ダウンロードしたドル建てのPaypal(ペイパル)明細を日本円へ計算(換算)する
③日本円に換算したPaypal(ペイパル)明細を弥生会計取込形式へ加工する
④弥生会計取込形式へ加工した日本円のCSVデータを弥生会計へ取り込む
⑤弥生会計へ取り込んだ日本円のCSVデータを弥生会計で経理処理・仕訳を行う
5つもステップがあり、大変そうと感じている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、これら決まった形を繰り返すだけなので、大切なのは慣れることができるかどうかだと思います。
そして、売上をきちんと経理処理しないと、いくら利益がでているか把握することができなくなってしまい、どんぶり経営になってしまいかねません‥
慣れるまでが大変かと思いますが、一度試してみて、自分流のデータ加工法などやりやすい方法を編み出してください。
①ドル建てのPaypal(ペイパル)の明細をCSVでダウンロードする
以下のような形式でPaypal(ペイパル)にログインし、1か月分のドルベースの取引データをCSVでダウンロードします。
Paypal(ペイパル)の取引履歴を以下のステップでダウンロードします。
- トップ画面の上部、「取引」をクリック
- 画面右側「明細」より、「取引履歴のエクスポート」を選択
- 日付を指定し、「ダウンロードするファイルタイプ」を「コンマ区切り、すべての取引」で指定
- 「取引履歴のダウンロード」で完了
②ダウンロードしたドル建てのPaypal(ペイパル)明細を日本円へ計算(換算)する
この日本円への換算のステップが一番大変かもしれません。
ダウンロードしたPaypal(ペイパル)の取引履歴には経理処理・仕訳に必要な以下のような情報が含まれています。
日付=取引発生日
名前=購入者、支払先
タイプ=決済内容、取引内容
総額=eBay(イーベイ)控除前のドル建ての売上金額、銀行口座へのドル建ての入金額、月間のeBay(イーベイ)手数料
手数料=売上に対するeBay(イーベイ)手数料
正味=総額-手数料
残高=Paypal(ペイパル)口座のドル建て残高
ここで、ダウンロードしたPaypal(ペイパル)の取引履歴には、ドルの残高増減に関係しない取引が含まれています。
(1)取引に関係しないPayPal取引明細の一部を削除
ドルの残高増減に関係しない取引=Paypal(ペイパル)の取引履歴から削除するべき取引となります。
削除すべき取引かどうかは、「タイプ」「ステータス」から判断します。
ここで一番大変になるのが、同じタイプでも削除すべきケースとそうでないケースが以下のように混在しています。
必ず削除の対象となる取引
・タイプ:キャンセル済み手数料
・重複している通貨換算の取引
削除対象になる場合の取引と削除対象とならない場合が混在している取引
・タイプ:受け取った請求書
・タイプ:送付した請求書
・ステータス:キャンセルの場合でタイプがecheck受取の更新
・タイプ:モバイルエクスプレス チェックアウト支払い受取り ステータス:キャンセル
削除対象となる取引とそうでない取引を正しく判断し、漏れなく弥生会計へ反映させるには、Paypal(ペイパル)の削除する前に取引履歴を計算式で「残高(ペイパル上の実残高)」と「計算上の残高」の差額を計算上の残高計算しながら削除することが必要になります。
「前日残高」+「正味(当日のネットの増減」=「計算上の残高」と「残高(ペイパル上の実残高)」のズレがないことを確認できたら、このステップは終了になります。
ドルの残高増減に関係しない取引を削除した後は、ドルベースのPaypal(ペイパル)取引履歴を日本円へ計算するステップに移ることができます。
(2)ドルから日本円へ計算する
ドルから日本円へ計算するには、2つの方法があります。
①総額と手数料を日本円へ換算する方法
②正味のみを日本円へ換算する方法
①の方法をとるメリットは、売上に対するeBay(イーベイ)手数料を弥生会計のレポートの損益計算書上で把握することができるようになります。
しかし、デメリットとしては、手数料に関して、ダウンロードしたPaypal(ペイパル)の取引履歴を総額と手数料をそれぞれ別の列に表示した形にPaypal(ペイパル)の取引履歴を加工する手間が必要となります。
簡単なのは②ですが、弥生会計のレポートの損益計算書上で数字をきちんと見たい場合には、①がおすすめです。
ここでは、説明が複雑になるため、①へのデータの加工方法について説明しません。
そして、ドルベースのPaypal(ペイパル)の取引履歴を円に計算する方法は2つの方法があります。
①取引日ごとの円とドルの交換レートを使ってドルを円に計算する方法‥日々のレートで計算
②1月ごとの平均の円とドルの交換レートを使ってドルを円に計算する方法‥平均レートで計算
①は、取引量が大量になると大変になるので、②の平均レートを使うのがおすすめです。
そして、レートには、TTS、TTB、TTMなどがありますが、原則的には、TTMのレートを使って日本円に換算します。
経理処理に使う為替レートの調べ方についての詳しい説明はこちら
③日本円に換算したPaypal(ペイパル)明細を弥生会計取込形式へ加工する
次は、ドルから日本円へ計算したPaypal(ペイパル)の取引履歴を弥生会計取込形式へ加工します。
まず、弥生会計取込形式にするには以下のCSV形式へPaypal(ペイパル)の取引データへ加工する必要があります。
A列:識別フラグ:2000
B列:空白
C列:空白
D列:日付(20××/××/××の表示)
E列:借方科目
F列:借方補助科目
G列:借方部門
H列:借方税区分
I列:借方金額
J列:空白
K列:貸方科目
L列:貸方補助科目
M列:貸方部門
O列:貸方金額
P列:空白
Q列:適用
R~S列:空白
T:取引タイプ:0(数字のゼロ)
Y:「no」と入力
以上の表のようにPaypal(ペイパル)の取引履歴データを弥生会計取込形式のCSVへ加工します。
④弥生会計取込形式へ加工した日本円のCSVデータを弥生会計へ取り込む
日本円のCSVデータを取り込む前に、弥生会計で普通預金の補助科目にPayPalを作成します。
(1)弥生会計上で補助科目PayPalの作成‥初回のみ
「設定」から「科目設定」より普通預金を選択し、「補助作成」から作成します。
(2)弥生会計へ日本円データの明細のアップロード
ここからが最後の弥生会計への取り込みのステップになります。
まず、加工した1行目の識別フラグ、勘定科目などの表示されている行を削除します。
メニューバーの「帳簿・伝票」より「仕訳日記帳」を選択します。
仕訳日記帳を表示した状態でメニューバー「ファイル」から「インポート」を選択します。
すると上の画像のような画面なるので、そのまま「OK」を選択します。
これでようやく仕訳完了です!
このように弥生会計でドル建てのPayPal(ペイパル)口座を処理する場合、いくつものステップを経なければいけませんし、データ量が多い場合には、慣れないうちはかなり時間がかかってしまうケースがあります。
PayPal(ペイパル)データを弥生会計で経理処理する場合のまとめ
以上を細かくまとめると全体でみると以下のようなステップになります。
①ドル建てのPaypal(ペイパル)の明細をCSVでダウンロードする
②ダウンロードしたドル建てのPaypal(ペイパル)明細を日本円へ計算(換算)する
(1)ドルの残高増減に関係しない取引=Paypal(ペイパル)の取引履歴から削除
(2)ドルから日本円へ計算する
③日本円に換算したPaypal(ペイパル)明細を弥生会計取込形式へ加工する
④弥生会計取込形式へ加工した日本円のCSVデータを弥生会計へ取り込む
(1)弥生会計上でPayPal(ペイパル)補助科目の作成‥初回のみ
(2)弥生会計へ日本円データの明細のアップロード
これらのステップを全てを行うことができず、ドルベースのPayPal(ペイパル)の弥生会計への取り込みを断念する場合もあるかと思います。
そんな時におすすめなのがMFクラウド会計のドル建てのPayPal(ペイパル)口座の連携機能です。
MFクラウド会計のドル建てPayPal(ペイパル)口座の連携機能について
MFクラウド会計のドル建てのPayPal(ペイパル)口座の連携機能では、日々のドル建てPayPal(ペイパル)口座の取引、増減を日々のレートで計算し、自動取得することが可能です。
そして、MFクラウド会計の連携機能では、総額と手数料を分けて日本円へ換算するためペイパル手数料を損益計算書上に費用として処理することが可能です。
eBay売上金額が大きい場合でも、MFクラウド会計を使えば、簡単に売上処理することができます。
どうしても弥生会計へ強い愛着がある方などは難しいかもしれませんが、どうしてもドル建てのPayPal(ペイパル)口座が難しい場合、時間がとられてしまう場合などはMFクラウドの導入を検討されてもいいかもしれません。
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