先日、ebay(イーベイ)セラーの方のビジネスに大きな打撃になりかねないPayPal(ペイパル)からのポリシーの更新の発表がありました。
PayPal(ペイパル)の発表のあったポリシーの更新の内容は以下のようになっています。
PayPal(ペイパル)からのリリース内容はこちら
アメリカの口座へ資金移動を行った際に、これまで手数料がゼロだったのが、PayPal(ペイパル)側で2.5%の手数料がかかるようになってしまったのです。
2018年5月10日からの手数料発生になるようです。
目次
PayPal手数料改正前の日本口座への手数料
これまでは、PayPal(ペイパル)の手数料3.5%~4%を節約するため、ebay(イーベイ)のドルベースの売上の入金先であるPayPal(ペイパル)から直接日本口座へ入金せず、
Payoneer(ぺイオニア)、Worldfirst(ワールドファースト)口座を経由し、日本口座へ入金することで日本口座への手数料を節約することができていました。
PayPal手数料改正前(2018年5月9日まで)の手数料 | ①PayPal(ペイパル)から直接日本の預金口座へ入金する場合の手数料 | ②Payoneer(ぺイオニア)、Worldfirst(ワールドファースト)口座を経由し、日本口座へ入金する場合の手数料 |
PayPal(ペイパル)手数料 | 3.5%~4% | ゼロ |
Payoneer(ぺイオニア)、Worldfirst(ワールドファースト)手数料 | ゼロ | 1%~2% |
日本口座への手数料合計 | 3.5%~4% | 1%~2% |
PayPal(ペイパル)からの手数料が約3.5%程となり、まとまった金額を日本口座へ移動させることでPayoneer(ぺイオニア)、Worldfirst(ワールドファースト)の手数料は1%前半となっていました。
ですから、PayPal(ペイパル)から直接日本口座へ入金せず、Payoneer(ぺイオニア)、Worldfirst(ワールドファースト)口座を経由し、日本口座へ入金することで手数料を約2.5%することができていました。
PayPal手数料改正後の日本口座への手数料
この手数料削減スキームが2018年5月10日以降以下のように手数料が発生することになりました。
PayPal手数料改正後(2018年5月10日以降)の手数料 | ①PayPal(ペイパル)から直接日本の預金口座へ入金する場合の手数料 | ②Payoneer(ぺイオニア)、Worldfirst(ワールドファースト)口座を経由し、日本口座へ入金する場合の手数料 |
PayPal(ペイパル)手数料 | 3.5%~4% | 2.5% |
Payoneer(ぺイオニア)、Worldfirst(ワールドファースト)手数料 | ゼロ | 1%~2% |
日本口座への手数料合計 | 3.5%~4% | 3.5%~4.5% |
以上のように手数料を削減することができた ②Payoneer(ぺイオニア)、Worldfirst(ワールドファースト)口座を経由し、日本口座へ入金する場合の手数料が従来からの1%~2%に対し、PayPal(ペイパル)が2.5%加算され、最終的な合計手数料3.5%~4.5%となってしまいました。
ebayの売上に対して手数料として2.5%(PayPal手数料3.5%-Payoneer、Worldfirst手数料1%)上乗せされる形になってしまいました。
PayPal手数料改定による経営インパクト
ではPayPalの手数料2.5%アップが具体的にどの程度、経営数値面でインパクトがあるのか検討してみます。
消費税の還付を受けているケースと消費税還付を受けていないケースでそのインパクトは変わってきます。
ebayの手数料は消費税の還付の対象となるため、消費税還付を受けている場合、ebayの手数料のアップは消費税還付額の増加につながるからです。
消費税還付を受けていない場合の経営インパクト
まず、消費税還付を受けていないケースで考えてみます。
年間売上が日本円で8,000万円の場合、200万円(8,000万円×2.5%)のコストアップにつながりますし、粗利益率2%のダウンにつながります。
ebay売上のウエイトが大きい場合、そのインパクトは大きくなってしまいます。
粗利益率がもともと25%の場合で年間固定費が1500万円の場合、以下のような粗利益の減少、損益分岐点の上昇となってしまいます。
単位:万円 | 手数料改正前 | 手数料改正後 | 改正による増減 | 手数料改正後500万円の確保 |
ebay売上 | 8,000 | 8,000 | – | 8,888(2,000÷22.5%) |
粗利益 | 2,000(8,000×25%) | 1,800(8,000×22.5%) | △200 | 2,000(8,888×22.5%) |
固定費 | 1,500 | 1,500 | – | 1,500万円 |
利益 | 500 | 300 | △200 | 500 |
損益分岐点売上高 | 6,000(1,500÷25%) | 6,666(1,500÷22.5%) | +666 |
粗利益200万円ダウン、粗利益=固定費となる損益分岐点売上高が666万円アップしてしまいます。
そして、改正前と同額の500万円利益を確保するために、必要な売上高は、8,888万円と888万円アップしてしまいます。
消費税還付を受けている場合の経営インパクト
まず、消費税還付を受けているケースで考えてみます。
消費税還付を受けている場合、2.5%のPayPalの手数料に対して8%の消費税還付額が増加することになります。
利益に対する影響 | |
PayPalの手数料2.5%アップによるコスト増加 | △売上の2.5%のコスト増加 |
PayPalの手数料2.5%アップによる消費税還付増加 | +売上の0.2%(2.5%×消費税率8%)の収入増加 |
PayPalの手数料2.5%アップによる利益の減少 | △売上の2.3%の利益減少 |
この場合、売上に対してトータルで2.3%の利益減少となります。
年間売上が日本円で8,000万円の場合、184万円(8,000万円×2.3%)の利益ダウンにつながり、、粗利益率2.3%のダウンにつながります。
こちらも同様ebay売上のウエイトが大きい場合、そのインパクトは大きくなってしまいます。
粗利益率がもともと25%の場合で年間固定費が1500万円の場合、以下のような粗利益の減少、損益分岐点の上昇となってしまいます。
単位:万円 | 手数料改正前 | 手数料改正後 | 改正による増減 | 手数料改正後500万円の確保 |
ebay売上 | 8,000 | 8,000 | – | 8,810(2,000÷22.7%) |
粗利益 | 2,000(8,000×25%) | 1,816(8,000×22.7%) | △184 | 2,000(8,810×22.7%) |
固定費 | 1,500 | 1,500 | – | 1,500万円 |
利益 | 500 | 316 | △184 | 500 |
損益分岐点売上高 | 6,000(1,500÷25%) | 6,607(1,500÷22.7%) | +521 |
この場合ですと粗利益184万円ダウン、粗利益=固定費となる損益分岐点売上高が607万円アップしてしまいます。
消費税還付を受けない場合と受ける場合を比べるとPayPalの手数料2.5%アップする5月10日以後の売上、粗利益、損益分岐点の比較は以下のようになります。
そして、改正前と同額の500万円利益を確保するために、必要な売上高は、8,810万円と810万円アップしてしまいます。
最後に消費税還付のあるケースとないケースを比較してみます。
消費税還付があるケースとないケースの比較
5月10日以後の比較
単位:万円 |
消費税還付を受けない場合 | 消費税還付を受ける場合 | 消費税還付による差額 |
ebay売上 | 8,000 | 8,000 | – |
粗利益 | 1,800(8,000×22.5%) | 1,816(8,000×22.7%) | 16 |
固定費 | 1,500 | 1,500 | – |
利益 | 300 | 316 | 16 |
損益分岐点売上高 | 6,666(1,500÷22.5%) | 6,607(1,500÷22.7%) | 59 |
若干ですが、消費税還付を受ける場合の方が、手数料アップのマイナスが少なくなりますが、全体としては、消費税還付を受けるケースと受けないケースでは、残る利益は大きく異なります。
詳しくはこちら
最後になりますが、Payoneer(ぺイオニア)、Worldfirst(ワールドファースト)を利用されている方、早めに年間の利益インパクトを見積もり、必要に応じて早めの戦略の見直しをされてはいかがでしょうか。
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